脱!マイナス思考。~私の母はパチンコ依存症~ -3ページ目

暗いトンネルの先に見えたものは 7

暗いトンネルの先に見えたものは 6 からの続きです。



難病?

なにそれ。私死んじゃうの?



初めて「死」というものを意識した。

やっと結婚出来たのに。これからだというのに。


底の見えない真っ暗な闇の中に落ちていくような感覚になったその時




ブルブルブルブルブル。。。






「・・・・・ねえ、携帯鳴ってるんじゃない?」


「・・・ん?あ、ああ。

ここじゃまずいから外出るわ。会社からみたいだし。」


「うん、行ってきて。」





私に背を向け歩いていく夫を見ながら思う。


こんな風に彼は去っていくのかな。

いや、死んじゃうのは私だから私が彼の元を去っていくのか。


なんだか急に怖くなり、点滴棒を引きずりながら夫の元へと急ぐ。


フラフラしながら病院の玄関口にあるソファへ腰掛けると

駐車場の車の中にいる夫の姿を見つけることが出来た。




「・・・・電話は終わってるみたい・・・。」





運転席のハンドルにうなだれるようにして動かない夫の姿を見て

胸の奥がぎゅうっとなる。


ああ、この人も今どうしていいのか分からないんだ。と。


しばらくして車を降りた夫は、玄関口にいる私に驚きながら




「大した電話じゃなかったよ。」





「会社に戻らなくて平気?大丈夫?」


「大丈夫。会社にいる人間で対処しろよなー。」





差障りのない会話が続く。

沈黙になってしまうのが怖かったのかもしれない。




「・・・ねえ。」


「ん?」


「難病・・・・だって。」


「・・・・・うん。

でもまだ決まったわけじゃないから。」


「うん・・・・。」







返事をしながらも・・・自分の人生が残り少ないのかと考えてしまう。


夫は子供を欲しがっていたのに・・・・

こんなことになるのなら生んでおけば良かった。


でも母親がいないのは可哀相だ。

そうなるくらいなら生まなくて正解だったのかもしれない。


お義父さんお義母さん・・・

ろくでもない嫁でごめんなさい。恩返しも出来ないで。


・・・・私、最後まで迷惑かけてばかり。

あなたに頼りきりで、あなたを振り回してばかりでいい奥さんじゃなかったね。

ごめん・・・・ごめん・・・・・。



夫が帰宅した後も病室のベットでそればかり考えていた。




「先生、難病って私は死んじゃうんですか?」


「いえ、死にませんよ。」




カンファレンス室で医師はこう続けた。




「まだ難病と決まったわけではないです。

入院時に採取した便から出た菌が何種類かありまして・・・・

症状が落ち着き次第、内視鏡検査をする考えでいます。」


「もし難病だとしても死なないんですね?」


「この病気で亡くなる人は滅多にいませんよ。

ただ・・・・。」


「ただ?」


「一生薬を服用しなければなりません。そして食事制限。

食事制限と簡単に言っても・・・糖尿病患者よりももっと厳しいものです。」


「手術をするわけじゃないんですね?」


「症状が悪化すれば手術もあります。大腸を全摘する方もいます。

そうなると人口肛門になりますね。」


「でも・・・・今すぐ死んじゃうわけじゃないんだ・・・・・。」





良かった。生きていられるんだ。

一生薬を飲もうが、食事制限があろうが生きていられるんだ。

私はほっとし、笑顔すら浮かべていた。



「先生。もしその難病だとしたら原因は何なんですか?

治ることは無理なんですか?

他に何か問題はないのですか?」


「原因が分からないから「難病」なんですよ。

今の医学では残念ながら症状を抑えることは出来ても完治は難しいです。

後は・・・この病気を抱えている人は癌になる確率が通常の人より高いですね。」


「そうですか・・・・・。

検査、よろしくお願いします。」


「お願いします。」




私は今現在のことを、夫はこれから先のことを・・・考えていた。



2度の内視鏡検査を受けた私は、医師から特定疾患に関する書類を渡され

手続きをするように言われた。


そう、私は

難病患者になってしまったのだ。



つづいたよ(笑

暗いトンネルの先に見えたものは 6

暗いトンネルの先に見えたものは 5 からの続きです。




あの真っ赤な血は未だに脳裏に焼きついている。

人というのは面白いもので、受け入れ難い現実に直面すると笑えてくる。



「あはは・・・

いや、きっと気のせい。気のせい。」



気のせいじゃない。

頭では分かっていても素直に受け入れることが出来なかった。


翌日同じ病院へ行った私と夫は、その場で「入院」を言い渡された。


相変わらず続く腹痛と高熱。

頭痛や関節痛まで出てきた体は、

病衣を着てベットに横たわったとたんに「病人」と化していた。


治療を受けても一向に良くならない。

時を関係なくして襲ってくる腹痛によって眠ることが出来ず、体力が消耗し続ける。

医師から「脱水症状になりかけてるから水分だけはとって」と言われていたが

口から摂ったものがそのまま出てしまうような状態だった為、

怖くて飲むことが出来なかった。




「ゆず!あんたどうしたの!?」


「ゆずちゃん大丈夫かい!?」




夫からの連絡を受けて母と義父母がやってきた。

母と義父母が会ったのは結婚式以来。

久しぶりに会った義父母に対し挨拶もろくにしない母にイライラしながらも

忙しい合間をぬって駆けつけてくれたことに感謝する。




「原因は?医者は何て言っていたの?○○さん。」


「それが・・・まだ検査をしてないから何とも・・・。」


「ゆず・・・あんたは体が弱いからね~。

大したことがなければいいんだけれど・・・・。」





母は時間を見つけては見舞いに来るようになった。




「ゆず、お風呂は許可されてるの?」


「無理だよ。絶食でずーっと点滴だもの。

体拭いてもらってるよ。」


「毎日?」


「いや、曜日が決まってるから。

自分で届くところはやるけど・・・。」


「早くいいなさいよ!こんな暑い日が続いてるのに気持ち悪いでしょ?

石鹸は?タオルは?」


「あー・・・。」


「いいわいいわ。お母さん買って来るね!」




母は買ってきたタオルと石鹸を使い、私の背中を丁寧に拭いた。




「こうやって世話するのも何年ぶりだろうねぇ・・・

ゆずは本当に体が弱いから入院ばかり。お母さんのせいだね。」


「お母さんのせい・・・・とは?」


「弱い体に生んでしまったこと。心配ばかりかけたこと。

でももう心配することはないんだから。だから安心して療養しなさい。」


「・・・・うん。ありがとう。気持ち良かったよ。」


「こういうことは親の方が頼み易いでしょ?」


「だね。あ、さっきの買い物のお金・・・・。」


「何言ってるの!いらないよ!」


「だって・・・大丈夫なの?」


「2千円やそこらのお金くらい、お母さん持ってるわよ。

今は親戚からの借金だけなんだから。」


「だけど・・・。」


「あんた・・・本当に心配症だね。

そんなんじゃ何時まで経っても治らないよ。ね?」


「うん・・・じゃあ払わないからね。」




以前の母だったら財布に2千円も入ってなかっただろう。

買い物を頼んでも先にお金を渡さないと買ってこれないような状況だったのに。



大丈夫だ。

お母さんは大丈夫だ。



このことを夫に話すと




「お母さんがお金を受け取らなかったのか・・・・。

本当に立ち直ってくれたのかもしれないな。」


「うん。断るなんて今まで無かったからね。

なんだか安心したよ。」


「あとはお前が元気になるだけだよ、ゆず。」




「なんだかお腹がすいてきちゃったかも。」








笑顔の私達の元へ険しい顔をした担当医師がやって来た。




「あっ、旦那さんもいましたか。

検査の結果なんですが・・・・・

どうやら難病の可能性があるんです。詳しい話はまた後日しますので。」




つづく

お食事中に読んじゃダメな話

えー、暗い話ばかりだと辛気臭いのでちょっと違う記事を。

でもエロではないよ。ざんねーん(笑


パチンコ記事がクライマックスに近づいています。

あ、この記事をスルーしてる人は分からないと思うのですが

なんと!主人公のオイラが下血しちゃったんですね。



「げふっ。」



とか言って吐血するシーンならドラマみたいでかっちょいいのに下血ですから。

なんとなくがっかりです←ヲイ。


ところで皆さん変な話ですが自分のウ○コ観察してますか?


スカトロには興味ないよって?

大丈夫、オイラもありませんから。本当に。

臭い・汚い・痛いプレイは嫌いです。


ウ○コの観察、これは本当に大事ですよ。

私は下血をするまで自分のウ○コをまじまじと見ることがありませんでした。


力む→出す→拭く→流す


こんな感じ。

水の中、渦を巻いて流れていくウ○コを一瞬見るくらい。

私と同じような人は結構いるんじゃないかな。



「以前から便に血が混じってませんでしたか?」



こうドクターから聞かれた時も答えようがなかった。

だって見てないんだもーん。

さすがに下血は気づきましたけどね。だって血だけが大量に出たんだもん(汗



大腸.com



↑このサイトでは分かり易く説明されています。

いつもエロサイトばかり紹介してるんでね、たまには役に立つサイトでも。


健康なくして何も出来ません。

美味しいものを食べることも、好きなお酒を飲むことも

エッチに励んだり、ブログに勤しんだり出来るのも健康あってなのです。




病院の美味しくないご飯食べたくないでしょ?



PCが禁止だなんて耐えられないでしょ?



悶々とした夜を過ごしたくないでしょ?




だったらウ○コチェック!



真剣な記事なのに笑えるのは何故だ・・(苦笑


ちなみに・・・トイレの洗浄剤あるでしょ?

タンクにセットする「ブルー○ット置くだけ」系のヤツ。


あれは必ず無色のモノを選びましょうね!

色がついているものだとウ○コの色が分からなくなっちゃいますから。


そしてもし何か異常があったらすぐに病院へ行きましょうねん。

「自分の体は自分が一番良く分かってる」なんて思いがちですがね、

全然分かってませんよ~大概の人は(爆


プロに見てもらう。これが1番。

何でも無かったらそれはそれで安心出来る。「安心を買う」と思えばいいのです。

治療は早ければ早いほど効果があるし、かかる費用も少ないもの。

体から発せられたシグナルを無駄にしちゃいけませんよ。


オイラの大事な読者の皆さんの健康を祈って。

ムフフw

暗いトンネルの先に見えたものは 5

暗いトンネルの先に見えたものは 4 からの続きになります。



私の結婚後、母は新たな職を見つけることが出来た。




「今まで一番やりたくない仕事だったけどそうも言ってられないから。

お母さん頑張るよ。」


「体だけは・・・気をつけてね。」





朝の早いうちから日が暮れるまでの農作業。まさに体力勝負の仕事だった。

細い体がいっそう細くなり、それとは対象的に真っ黒に日焼けした肌。




「いやー色白だったのに真っ黒になっちゃって。シミだらけだわ。」


「・・・・・・・・・。」


「でもね、お母さんはいつも思うんだよ。

こうなったのは自分のせいだ、自分のせいだって。

じゃがいもやら人参やらを掘り起こしながらね。

自分がしてきた罪を償うつもりで一生懸命やってるよ。」


「・・・・・そっか。」




母もやっと分かってくれた。

そう考えてもいいんじゃないだろうか。信じてあげてもいいんじゃないだろうか。


体中真っ黒で、しかも虫に刺されてアザだらけになってる母を見て

私は心の中で自問自答していた。


それから度々私達の新居を訪ねては、職場で安く譲ってもらった農作物をおいていく母。

親が娘の家に食べ物をおいていく。

「普通」の親子関係なら当たり前かもしれない。

だが、今までお金を渡したり、食べ物をおいていったのは私。




「やっと親らしいことが出来るよ。

ま、こんなものしかあげれないけどね。まだ借金あるからね。」


「無理しなくていいんだよ。」


「大丈夫だって、あんたは本当に心配症なんだから。

お母さんね、あんたの泣き顔だけは見たくないんだよ。本当だよ。

だから大丈夫だからね。」




夕暮れ時の空の下、自転車で帰る母を見送る。

何度もよろけながら振り返って手を振る母を見ているうちに涙が出てきた。



もう1度だけ、

もう1度だけ信じてみようと思った。




私が体に異変を感じ始めたのはそれから1年後のことだった。




「熱・・・下がらないね。病院へ行って見てもらったほうがいいよ。」


「風邪だと思うから風邪薬でいいよ。市販のやつあるでしょ?」




一向に下がらない熱。尋常じゃない腹痛。

夜中にベットとトイレを何度も往復しているうちに体力が無くなって来た。



「ゆず。。。。」


「うん、ごめん病院まで連れて行って。。」




急性の胃腸炎だと診断された私は処置室のベットに横たわり点滴を受ける。




「これでお腹の痛みも和らぐと思いますよ。」


「はい・・・・・。」




が、点滴を終えてもなお腹痛は続く。

家へ帰るまでの間もひたすら痛みに耐える私。




「俺、会社に戻らなくちゃ・・・何かあったら電話しろよ。」


「うん、ごめんね。点滴したからきっと大丈夫だよ。」




言葉とは裏腹に、腹痛は止むどころかさらに増し脂汗がにじんでくる。

夫を見送ったと同時にトイレへ駆け込んだ私は・・・・・

「えっ・・・・何これ。。。。」

虚ろな目に飛び込んできたのは

驚くほど鮮やかな鮮血だった。

つづく。


暗いトンネルの先に見えたものは 4

暗いトンネルの先に見えたものは 3  からの続きです。




新しい年になっても闇金からの嫌がらせは続いていた。


母は新しい職場へ通い始めたことで家にいる時間が減った為

鳴り続ける電話に怯えることもなくなり、少しずつ明るさを取り戻していった。


私の携帯には相変わらず非通知や知らない携帯番号

(090金融)からの電話がかかってくる。

出ても面倒なだけなので着信拒否設定にするのだか・・・

1つの番号を設定しても、新たな番号でかけてくる為あまり意味がなく

鳴らしっ放しにすることが多くなった。


この頃に設定していた着メロを嫌いになるのに時間はかからなかった。



「ゆず・・・働く場所が変わることになったよ。」



結婚式の準備をしていた私の元にかかってきた母からの電話。

彼から紹介されて勤め始めた職場の規模が縮小し、

母の居場所が無くなったというのだ。



「せっかく見つかった職場が・・・。」


「でもね、会社の人が違う店舗なら使ってくれるっていうから

そこで働くことにしたよ。」



その場所は隣町だった。



「どうやって通うの?」


「バスしかないね・・・。交通費は出るらしいから早起きして行くわ。」


「交通費・・・給料日にならないと出ないんだよ?

それまでお金もつの?」


「・・・・・・・なんとかなるわよ。」



往復で1000円の交通費。

「お金が無いので交通費だけ先払いでお願いします」とでも言うつもりなのだろうか。

それっぽっちのお金もないと知ったら会社側はなんて思うだろう。



「お母さん、職場まで送るよ。」



こうして毎朝、母を職場まで送るのが日課になった。

隣町まで20分のドライブ。

母は前日にあったことをひたすら私に話す。

上司や同僚に対する愚痴話が主だったが、いつも笑顔で話す母が印象的だった。



「入場の際はお母様に手を引かれて入場という形になります。」


「最後のご両親への花束贈呈は花嫁からの両親へ手紙を。」



私の手を引いて堂々と歩く母の姿が目に浮かんだ。

私の手紙を泣きながら聞く母の姿も目に浮かんだ。


どうしてだろう。嬉しくない。むしろ腹立たしいのだ。


私の結婚を祝福してくれたわけでもない、協力してくれたわけでもない。

それどころか破談の一歩手前まで追い込み、結婚資金は減る一方。

私は皆の前で・・・・母に「ありがとう」と言わねばならないのか?


手紙を無しにするわけにもいかず、白紙の便箋を前に悩んでいると



「お姉ちゃん・・・・また店舗が縮小するんだって。

お母さん今度こそ働く場所無くなっちゃった。。。。」



母が悪いのではない。

パチンコでクビになったわけではないのだから。



「申し訳ないんだけれどお金、貸してくれないかな?」



そうだよね、お金あるわけないよね。

消費者金融から借りるくらいなら私に言ってって話したもの。

母のこの言動は間違ってない。



「・・・・・お母さん、これで最後にしてくれる?

私ももう、仕事辞めたし結婚したら彼のお給料で生活するの。

これからは私が自由になるお金なんてないから・・・・。」



電話を切った。

頭では分かっている。今回は母のせいではないと。

けれど式の直前になってまでお金の無心をする母に苛立ち、涙が出てきた。


最愛の人と最高の笑顔で迎えるはずだった結婚式。


ぎこちない笑顔で母と入場する私。

ありきたりな言葉を並べただけの私の手紙に参列者の多くが涙し、

母も目頭を押さえていた。


一方の私はどこか人事の様な顔をしていて

「あんな手紙でも泣けるものなんだな」と感心していた。



「ありがとう」



私の手紙にこの言葉は無い。

育ててくれたことに感謝しつつも、どうしても書けなかった言葉。

感謝していないわけがない。

私が今、この場に立っていられるのは母がこの世に生んでくれたから。

けれどパチンコに依存してしまってからの母は、私が知っている母ではなくなってしまった。

別人になってしまった。


感謝の気持ちと同じくらい・・いやそれ以上の憎しみを抱いて

この手で殺めてしまおうかと考えた夜を・・・この会場にいる人達は知らない。

私が流した一筋の涙は、皆の涙とは異なる複雑な涙だった。



つづく。